建物管理の感染症対策
感染対策としての清掃は、薬剤を多く使うことではありません。汚れを取り除き、汚染をほかへ運ばず、必要な対象に適切な消毒を行います。利用者が触れる場所と、作業者自身が汚染を持ち運ぶ動作を一緒に見直すことが大切です。
場所と利用状況から清掃計画を決める
ドアノブ、手すり、エレベーターのボタン、共用端末、机、水栓など、実際によく触れる箇所を確認します。利用人数と汚れ方に応じて点検・清掃の頻度を設定し、感染の発生や汚染事故の際に変更できる計画とします。一律に床全体を消毒することより、手指衛生と接触面の管理を含む目的に合った対策を選びます。
- 利用者の動線と、清掃担当者の用具の置場を確認する。
- 担当者、対象箇所、方法、確認欄が分かる作業表を作る。
- 嘔吐物、便、血液は通常の汚れと分けて扱う。
清掃と消毒を同じ意味で扱わない
清掃は汚れなどを物理的に除去する操作です。消毒は対象となる微生物や条件に応じて行うもので、汚れが残ると効果を妨げる場合があります。通常は先に清掃し、必要な場合に適切な製品で消毒します。薬剤の適用対象、濃度、接触時間、材質への影響、後処理を表示・手順書で確認します。アルコールだけで全ての病原体に対応できるわけではありません。
- 汚れた面を拭いた布の同じ面で、清潔な場所を拭かない。
- トイレ等の用具をほかの区域へ持ち回らない。
- 再使用用具は洗浄等の必要な処理を行い、乾燥と保管まで管理する。
人のいる空間へ薬剤を噴霧しない
消毒剤等を人のいる空間へ噴霧して感染対策とする方法は、吸入による健康影響のおそれがあり、厚生労働省も推奨していません。表面の処理も、周囲へ飛散させるのでなく、製品の使用方法に従って行います。人体への噴霧や、除菌効果をうたう製品をマスクに付けて吸い込む使い方をしないでください。
- 塩素系製品と酸性製品などを混ぜない。
- 換気、保護具、火気管理など、製品ごとの注意を守る。
- 未表示の容器へ移し替えず、飲料容器を使わない。
作業後の確認までを一つの工程にする
使い捨て用品の回収、用具の処理、保護具を外す動作、手指衛生、資材の補充を終えて完了とします。手袋をしていても、外した後の手指衛生は必要です。チェック欄だけでなく、汚染事故、材質の傷み、薬剤の取り違え、利用者からの指摘も記録し、次の作業方法に反映します。医療・介護施設では施設側の感染対策手順を優先して調整します。