建物管理の感染症対策
かびが見つかったときは、表面をきれいにするだけでなく、なぜ水分が続いているのかを調べます。漏水、結露、換気不足、浸水などの原因が残れば再発します。かびによる影響にはアレルギーや気道刺激などがあり、全てを感染症と呼ぶことは適切ではありません。
健康影響と診断を分けて考える
かびへの反応には個人差があります。免疫機能が低下した人や慢性の肺疾患がある人では、真菌感染症への注意も必要です。一方、壁の変色やにおいだけで、原因となる菌種、病気、感染源を断定することはできません。咳や息苦しさなどの訴えがある場合は、建物の状態を記録して共有し、本人の医療相談につなげます。
- 「黒いから猛毒」「かびがあるから全員が感染する」と表示しない。
- 検査の数値だけで、全ての利用者の健康安全を保証しない。
- 施設利用者と作業者の健康状態に配慮して作業を調整する。
水分の原因と範囲を調べる
天井、壁、床、配管の周囲、家具の背面、空調機のドレンなどを確認します。発見日、面積の目安、写真、湿り、におい、雨天との関係、過去の修繕を残し、設備・建築担当へ引き継ぎます。表面だけでなく、仕上げ材の裏や断熱部などに水分が残る場合もあります。必要な調査範囲は専門担当者と決めます。
- 漏水が続く箇所は、清掃の前に止水と安全確保を調整する。
- 結露は室内の温湿度と表面温度、通気、断熱などの条件を確認する。
- 浸水後は電気や構造の安全を確認し、乾燥と傷んだ物の処理を計画する。
胞子や粉じんを広げず除去する
乾いたブラシや送風でかびを周囲へまき散らさないようにします。作業区域、利用者の動線、保護具、廃棄物の搬出経路を先に決め、材質に合った処置を選びます。広範囲、繰り返す発生、空調内部、壁内、汚水が関係する場合などは専門業者と対応を検討します。多孔質の材料では表面清掃だけで対応できず、交換が必要になる場合もあります。
- 免疫機能が低下した人を、かび除去作業や作業中の区域に参加させない。
- 薬剤は表示どおりに使用し、混合や無計画な噴霧をしない。
- 手袋、眼の保護、呼吸用保護具は粉じん量や作業内容に応じて選定する。
再発確認を管理計画に組み込む
水分の原因への処置、除去または交換した範囲、乾燥の確認方法、再点検日を記録します。清掃直後に見えなくなったことだけを完了条件にせず、雨天や空調運転後など再発しやすい条件でも確認します。医療・高齢者施設では、施設の感染対策担当者と工事・清掃の時期、養生、利用制限を共有します。