建物管理の感染症対策
清掃やごみ回収を担う人自身の健康と安全を守ることは、建物の利用者を守ることにもつながります。病名が分かる相手だけに注意するのではなく、接触する物と作業内容から危険を見積もり、汚染を手や衣服、道具で運ばない行動を日常の手順にします。
標準予防策の考え方を、作業へ落とし込む
医療・介護で用いられる標準予防策は、感染症の診断の有無にかかわらず、血液や排泄物などに感染の可能性があると考えて対応するものです。建物管理では、この考え方を嘔吐物処理、トイレ清掃、汚染リネン回収等の作業リスクに照らして活用します。医療行為の手順を、そのまま一般清掃へ当てはめるという意味ではありません。
手袋は、手指衛生の代わりにならない
汚染物に触れる可能性がある作業では適切な手袋を使い、作業や区域の切替え時、破れた時などに交換します。外す時に汚染面を素手でつかまないようにし、外した後も手指衛生を行います。汚れが目に見える場合やトイレ作業後は、石けんと流水による手洗いを基本にします。
- 汚れた手袋でスマートフォン、鍵、エレベーターボタンを操作しない。
- 同じ手袋のまま、トイレから給湯室や食事場所へ移らない。
- 使い捨て手袋を洗って再使用しない。
- 手洗い用の石けん、ペーパータオル、水の確保を点検する。
防護具は、予想される曝露に合わせて選ぶ
飛沫が顔にかかる作業では、マスクだけでなく目の防護も検討します。衣服への汚染にはエプロンやガウン等を用います。呼吸用保護具が必要な場面では、種類の選定や正しい装着確認を含めた教育が必要です。何種類も重ねれば常に安全になるとは限りません。
着け方だけでなく、外し方、廃棄場所、交換用資材の取り出し方を訓練します。医療・介護施設で必要な防護具は、施設の感染対策担当者が定める作業別手順を確認します。
体調不良を、早く申告できる体制にする
発熱、嘔吐、下痢などがある時は、出勤前から会社や施設の担当者へ連絡し、勤務・配置の判断を受けます。本人が無理をしないで済む代替要員と連絡ルートを用意することも管理上の課題です。復帰条件は感染症や職務により異なるため、一律の日数を自己設定しないようにします。
- 現場運用例として、報告先、代替勤務、受診相談先を一枚にまとめる。
- 健康情報の共有は対応に必要な範囲とし、周囲の憶測や非難を防ぐ。
- 防護具不足や手荒れなど、手順を守りにくい原因も報告できるようにする。